Hewllet-Packardとは


 Hewlett-Packard (HP)社は、スタンフォード大学を卒業した William Hewlett と David Packard の二人が1938年に設立した会社です。Hewlett-Packard という社名はコイン・トスで決めたそうで、コインが反対だったら Packard-Hewlett になっていたわけです。

HPを創設した二人は、当初はパロアルトで Hewlett が借りたアパートの古いガレージを作業場にして、発振器などの測定器を作っていました。最初の製品がウォルト・ディズニー・スタジオに納品されたのは有名な話です。ちなみに現在、その時のガレージには『シリコンバレー発祥の地』という記念碑が建っています。

Hewlett-Packard といえば、今ではパソコンやプリンターの会社だと思っている人が多いかもしれませんが、もともとは世界屈指の高級測定器メーカーです。「HP の測定器で測ったデータでなければ信用しない」という人がいるくらい、信頼性の高い測定器を世に送り出してきました。Hewlett-Packard の創業期に関心がおありでしたら、ぜひ David Packard の書いた HPウェイ-シリコンバレーの夜明け(日経ビジネス人文庫)』をご一読されることをお勧めします。

実は関数電卓を世界で最初に開発したのも Hewlett-Packard なのです。『HP電卓博物館』へ行くと、HP電卓の歴史とこれまでの製品を見ることができます。RPN とはなにか、といった入門編の話から、各モデルの開発コード名、RPN のバージョンによる違いなど、既にHP電卓を使っている人にも興味のある高度な話まで詳しく解説されています。

ちなみに 1972年に発売された初のポケット・サイズ関数電卓である HP-35 は、キーの数が 35個だったのが型番の由来だそうです。右の写真は左側が 1972年に発売された HP-35、右はその発売 35周年を記念して 2007年に発表された新しい HP-35s です。最新モデルに同じ型番をつけるあたり、なかなか洒落ています。

アメリカでは、理工系の学生はHP電卓を使うのが当たり前になっているそうなのですが、日本では知名度が低く、あまり見かけることがありません。あまり派手な宣伝もしてこなかった(今でもしていませんが)のと、価格がやや高いという点、RPN という独自の操作方法であること、それと選ぶ側にも「電卓はどれも同じ」という思いこみのせいか、やはりシャープやカシオといったほうへいってしまって、あまり普及しなかったのだと思います。

一時、社内の混乱のあおりで消滅の危機さえ囁かれたHP電卓は、ここへきて再び盛り上がりを見せています。上述の HP-35s は、前モデル33sのHPらしからぬ(?)デザインから一転、再び HP らしいスタイルに戻ったことで、電卓部門が力を盛り返したことがうかがえます。

自分も含めて、使い慣れてしまうと手放せなくなってしまうHP電卓の魅力とはなんなのか、また もっとHP電卓が普及してくれるようにという願いも込めて、ここでHP電卓とはどういう電卓なのかを少しだけご紹介したいと思います。

ところで、1999年11月、企業として巨大化しすぎたHPは、測定器部門を分離して、『アジレント・テクノロジー』という社名にしました(2014年に『キーサイト・テクノロジー』と再び改名しました)。いくらパソコン周辺機器部門のほうが収益が上がっているからといっても、そもそも創業時の本業ともいえる測定器部門を分離して社名まで変えてしまったことへは、個人的には「???」といいたいところです。 まあそれは置いといて・・・


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